夢を詳しく書く

夢日記です。

バイト先 渡辺くんと大垣くんと間宮くんと小池さん ラスト サソリの絵を描く 人が入ってくる 点検のおじさんだった 帰る 寝る

 起きる 学校へ行く 家を出る ものすごく暑い 左の道を行く 田んぼがある 蛙が死にかけている 助ける また歩く 

 エリナに会う 話す 皆就職決まったようで焦る

 私は群馬県のとある森で起こった悲惨な爆発事故の現場に向かっていた。バスには10人乗っていた。その森には麻薬中毒者の更生施設があり、患者が爆発事故を起こし施設内にいた多くの患者及び職員が死亡したという痛ましい事件が起こった廃墟だ。何故私がそこに向かっているかというと、鬼ごっこに招待されたからだ。10分間逃げ切れれば10万円を貰えて、鬼に捕まったら殺されるというルールだ。10万円というはした金は命を落とすのには安すぎると思ったが、お金欲しさにゲームを受けることを承諾してしまった。10人につき鬼も10人で、鬼の中の特定の一人に捕まらなければセーフらしい。鬼は老若男女いて、その中に稲勝さんがいた。しかも私を狙ってくるそうだ。私は「クラスメイトに殺されるかも知れないのか…」としか感想が湧かなかった。

 鬼ごっこが開始され、鬼が1分数えている間に皆散り散りに逃げた。私は足に自信がないのでなるべく隠れるスタンスでいくことに決めた。一旦建物の外に出てから敷地内の花壇の陰に隠れた。1分経った合図があり、鬼ごっこが開始された。逃げているわけではないので私はとても暇を持て余した。何分か経ち、誰かが近くに来る音がした。身を小さくして息を潜めていると、30代位の薄汚れた女が息を切らしながら走ってきた。どうやら鬼に追われているようだ。しかし、私は助ける義理は特にないので放っておいた。全速力で鬼がやってきた。鬼は女をナイフで刺し、私の目の前で殺された。女の身体から血が噴水のように湧き出た。女が絶命したのを確認すると、鬼は私のほうを向いた。目があった途端一瞬で血の気が引いたが、鬼は私を無視して歩いてどこかへ行ってしまった。

 いなかつさんじゃなくとも鬼に見つかってしまったことから隠れる場所を変えようと思い、建物内に入った。どこか隠れる場所を探したが、いい場所が見つからなかった。ウロウロしていると、突然近くのドアがガチャリと鳴った。慌てて近くの椅子の下に隠れた。出てきたのはいなかつさんだった。どうか私に気づきませんようにと思いながら息を殺した。心臓がドクドク脈打つのを聞きながら、いなかつさんが去るのを待った。いなかつさんは私に気付かずどこかへ行ってしまった。私は安堵の息を漏らした。時間はあと2分だ。隠れる場所を探そうと思ったら、いなかつさんが戻ってきて鉢合わせしてしまった。目があった途端血の気が引いていくのを感じた。土下座をしながら「命だけは!命だけはお助けください!!」と懇願した。

 部屋でゴロゴロしていると、久々にバイト先の元先輩である浅川さんから連絡があった。「相談したいことがあるから会えない?」とのことだ。その日はおばあちゃんの面倒を見なければいけない日だったので、「7時からなら大丈夫ですよ」と送った。「7時からで大丈夫。じゃあ、住所送るから7時に俺の家来て」と返信がきた。さすがに一人暮らし男性の家に行くのは気が引けるので「家じゃなくて近くのごはん屋とかどうですかね?」と送ったら「俺の家じゃなきゃ駄目な相談だから」と返信がきた。行くべきか断るべきか迷ったが、どういう相談内容なのかが知りたいという好奇心には勝てず了承した。

 今は昼の2時で、浅川さんの家に行くまでに1時間程かかる。5時半を目安に家を出れば間に合うはずなので、家を出るまでにあと3時間半あった。今日はおばあちゃんが家に遊びに来ていた。おばあちゃんはお父さんが寝ている布団に潜り込んでお父さんと一緒にテレビを見ていた。私は何かおばあちゃんと話をしなきゃと思い、「おばあちゃん、表参道で買った美味しいバウムクーヘンがあるんだけど一緒に食べよう!」と声をかけた。しかし、「おばあちゃんはお腹がいっぱいだからむつきが全部食べてもいいよ」と言われた。正直言って私もお腹は全くすいてなかったのだが無理して食べた。途中で「今食べなくても良かったな。取っておけば良かった。」と後悔をしながら完食した。

 おばあちゃんが「ビレバンに行きたい」と言い出したので、近所のショッピングモールに行った。ビレバンでは別行動だ。私は漫画のコーナーに行った。峰なゆかの新刊が出ており、表紙と帯が可愛かったので写真を撮ろうとした。すると、いかにも根暗そうな女性店員がすごい勢いでこちらへやってきて「お客様、店内の書物の撮影は禁止されています」と、ドロドロとした低い声で言われた。ボサボサの髪を後ろで一つに結んでおり、頬はこけ、眼鏡の奥に見える目にはクマがくっきりと出来ていた。私はその亡霊のような店員の出現に動揺してしまい、「ご、ごめんなさい」とどもりながらiPhoneをしまった。

  結局、おばあちゃんも私も何も買わずに帰路についた。帰宅すると妹の沙知がいた。おばあちゃんの世話を沙知に任せて私は出かける支度を始めた。お風呂に入り、髪を乾かした。しかし、いつまで経っても髪が乾かない。いつもなら15分くらいドライヤーをあてていると乾くはずなのに、20分経つのに半分も乾いていなかった。結局、完全に髪を乾かすのに45分ほど要してしまった。

 化粧もいつもは10分で終わる筈なのに30分以上かかり、気がついたら時計は6時半を指していた。約束の確実に間に合わないのが発覚し、慌てて家を出た。電車の中で「すみません。8時着になってしまうのですが良いでしょうか?ごめんなさい。」と連絡した。幸いにも「大丈夫!了解」と返信があった。

 最寄り駅に着き、住所を検索して家に向かった。家は10階建てのマンションらしい。浅川さんはその10階に住んでいるそうだ。10階まであるから結構な規模のマンションを想像していたが、一階につき三室しかない小規模なマンションだった。マンションに着いたが、入り口で大学生くらいのグループがたむろしていた。それを無視して横切ろうとしたら「むっちゃんじゃん!」と声を掛けられた。驚いて振り返ると、吹奏楽部のときの友達だった。声を掛けてくれたのはゆずで、他にも平野やまっちょ、なな、ももなど、主に吹部の中で幹部のようなポジションだった人達のグループだった。卒業以来の友達もいたため、久しぶりに会えて話も弾んだ。ゆずが「私ここに住んでて、今から鍋パするんだ」と言われた。『むっちゃんも一緒にどう?』って声を掛けてほしかったなあと卑しいことを考えながら「そうなんだ、楽しんでね!じゃあまたね」と言ってエレベーターのボタンを押した。エレベーターが降りてくるのを待っているときに、「ここで10階で私が下りたことがバレると10階の人とデキてるって勘違いされそうだな。それは嫌だ。」と考え、エレベーターをやめて階段で行くことにした。

 10階に着き、チャイムを押した。浅川さんとは半年以上ご無沙汰していたので「お久しぶりです」と挨拶し、早速部屋に入れて貰った。部屋にはテーブルと椅子とテレビとベッドしかなく、何故かベッドの上にはちょっとセクシー系な女物の洋服が沢山置いてあった。私がそれををぼーっと眺めていると、「相談っていうのはそれのことなんだけどね。」と突然話を始めた。「実はそれ、俺のなんだよね。」と言われ、更に「実は、今女装にハマってるんだよね。」と衝撃的なカミングアウトをされた。私は浅川さんみたいなタイプの人間は女装に興味を持つ以前に、ゲイや女装男子などを軽蔑してそうなタイプだと思っていたからだ。「こんなことむっちゃんにしか言えないから」と言われ、確かにそうだなと納得した。相談というのは化粧の仕方についてだった。どうしても上手くいかないと嘆いていたが、全く女性的ではない外見の浅川さんを本物の女性のように見せるには、特殊メイクばりのメイクの腕が必要だった。素人がどうにか出来るものなのかは疑問だったが、化粧を施すことになった。「じゃあ、化粧をする前にとりあえず着替えてください。」と言った。浅川さんは私の前で着替えるのを恥ずかしがっていた。女性の服を着た浅川さんを見て「やっぱり手脚がゴツイな」と感じた。腕毛やスネ毛を剃っているところは評価したいと思った。

 さてメイクをしようとしたところ、チャイムが鳴った。宅急便が来たそうだ。「むっちゃん代わりに出て」と言われたが、「浅川さんが出てくださいよ。女装の恥ずかしさを克服するチャンスですよ」と言った。浅川さんに何度か懇願されたが全てかわし、根負けした浅川さんが渋々玄関に向かった。

 学生最後の夏休み、私はタンクトップを着て居間でゴロゴロしていた。暇なのでテレビを付けると、見たことがある風景が映った。ばーちゃん家のすぐ近所が映し出されていた。どうやらある事件の犯人の自宅がばーちゃん家のすぐ近くらしい。「ここが犯人の住むアパートです」とレポーターが言い、古い木造建築のアパートが映し出された。「容疑者はこの204号室に住み〜」とレポーターが扉の前まで行き、204号室がでかでかと映し出された。犯罪者にはプライバシーも守られないんだなと考えながらぼーっと見ていたが、私はとんでもないものを発見した。映し出された扉の横にあった窓にばーちゃんと犯人が写った写真が立てかけてあったからだ。二人は知り合いだったのかと驚愕した。

 どうやら犯人は女子高生を誘拐し、誘拐された子を殺害したらしい。殺害された女子高生の顔を見て私は再度驚愕した。それはあきちゃんだった。

 季節は冬で、雪の降る夜だった。九州からやっちゃん達が泊まりにきて、NARUTOの暁のメンバーが遊びにきた。皆で近くの銭湯に行くため車二台を走らせた。一台目はお父さんが、二台目はデイダラが運転した。銭湯に着き、ゆっくり風呂に浸かった。再従姉妹のあゆみちゃんと話すのは約10年ぶりで、小南と話すのはほぼ初めてだ。お母さんと妹を入れた五人での会話は盛り上がり、非常に楽しい時間だった。ずっと話していたいと思った。

  風呂から上がると、男性陣は既に家に帰っていたので私達も家に帰ることにした。帰宅したらそこは宴会の場と化していた。

 酒を飲み、どんちゃん騒ぎしている男性陣の中にデイダラが見当たらなかったので「デイダラは?」と聞くと「ああ、なんか頭痛いからって誠之のベッドで寝てるぞ」とサソリが答えた。誠之の部屋に行き確かめると、確かにデイダラがいた。すうすうという寝息が聞こえる。リビングでの騒がしい様子が聞こえてくるが、ここはリビングとは打って変わって暗く静かだった。

 しばらくデイダラを眺めてからリビングへ戻ると、宴会もお開きの雰囲気が漂っていた。サソリが「よし、そろそろ帰るか」といいながら立ち上がった。皆相当酒を飲んだのか酒瓶があちらこちらに転がり、皆千鳥足であった。「悪いけどデイダラ泊めてってくれ」とサソリに言われたので了承し、車で帰る彼らをお見送りした。

 深夜二時ごろ、部屋のドアがノックされた。「誰?」と声を掛けるとデイダラがゆっくりドアを開けた。「皆どこ行ったんだ?うん」と心細そうな声で尋ねてきた。「デイダラが寝てる間に帰ったから今日は泊まってきな」と言ったら「なんでだよあいつら!オイラを置いてけぼりにしやがって!起こせよ!うん」と、自分を置いていったメンバーに対して怒りを顕にした。しかし、彼等は決して嫌がらせで置いていったわけではない。デイダラを起こすのが可哀想だから置いていったのである。怒ることはないじゃないかと思っていたら「今から帰るぞ、うん」と言い出した。私は「どうやって帰るのさ?電車も動いてないし、タクシー代払うお金があるの?それ以外に帰る手段ないよ?」と言ったら黙りこくってしまった。私はそんなデイダラを可哀想に思い、「私が車で送っていこうか?」と声をかけた。デイダラは予想外だったらしく、「うんん!?お前運転出来るのか?」と言われたが、心配をかけたくなかったので「大丈夫大丈夫、免許持ってるし。」と答えた。

 デイダラと帰る支度をしていると、「オイラ、お前の夢見たぞ。うん」と言ってきた。私はデイダラの夢に登場出来たことを嬉しく思い、「どんな夢だった?」と聞いた。「お前がオイラの姉ちゃんで、オイラはお前のこと『ネネ』って呼んでた」と少し照れながら言ったので思わず私は笑った。「かわいい弟め」と言うと「でもオイラ、姉弟がいないからすごく嬉しかったんだ。うん」と言い、少し躊躇いながらも「なぁ、これからたまにでいいから、ネネって呼んでもいいか?」と聞いてきた。私はそれが嬉しくて「もちろん。いつでもデイダラのネネになってやるよ。」と返したら、デイダラは照れながらも「ありがとうな。ネネ」と言ってくれた。

 準備が整ったので私は運転席に、デイダラは助手席に乗った。「ほんとに大丈夫かよお前?うん」とデイダラはかなり心配そうだったが、「ネネに任しておきな」となんの根拠もなく言った。早速エンジンをかけ、車庫出しをしようとしたが早くも上手くいかない。デイダラは「ほら見ろ。だからオイラが代わりに運転...」と言いかけたが「でもここで私が運転しなかったら帰りどうすんのさ?」と被せた。運転に慣れていないので苦戦したが、どうにかこうにか車庫から出すことが出来、アジトへ向かった。深夜の雪の日だからか町は静かで幻想的な空気が漂っていた。

 しかし、途中で問題が発生した。ブレーキが効かなくなってきたのだ。車はどんどん加速していく。デイダラは「おい、これ本当に大丈夫か?うん」とかなり心配そうだ。私は「やばい。なんかブレーキが効かない。」と言ったら「ちょ、だからこんなに加速してんのか!うん!」と慌てた。時速は80キロを超え、ブレーキが効かないので超急ハンドルで左折した。左折は奇跡的に上手くいったが間違えて反対車線に入ってしまい、向かいからトラックがやってきた。私は「あ、これぶつかるな」と判断し、何を血迷ったか避けようともせずにそのまま突っ切ろうとした。しかしデイダラは「お前何ぼーっとしてんだよ!!うん」と言い、助手席からハンドルを回してくれたお陰でどうにかトラックを回避出来た。その後もデイダラが助手席から運転する形になり、私は「助手席からでも流石の運転テクニック。さすがS級犯罪者だな。」とぼんやり思いながらデイダラに運転を任せた。

 もうすぐ暁のアジトだ。そこで私は「ねえ、これどうやって止まればいいの?」とデイダラに聞いた。デイダラはそこまで考えていなかったようで、「あ...」と言いながら青ざめた。どうすればいいのか考えているうちに暁のアジトが見えてきた。デイダラは「やばいやばい、これはかなりやばいぞ!うん」とかなり焦っているようだ。私は「これアジトに突っ込んだら止まるよね?」と聞き、「バカなこと言ってんじゃねぇぞ!うん」と怒られた。しかし、それしか方法が思いつかなかった為、私は「よし、じゃあ突っ込むか」と言いアクセルを全開にした。デイダラは「うわああああああ」と情けない悲鳴を上げていた。アジトに突っ込み、ようやく車が止まった。ドガァンと凄まじい音を立てながらアジトの壁が壊れた。それに驚いたのか、寝入ってたであろう暁のメンバーが慌てた様子で外へ出てきた。車の方は奇跡的に少しのヘコミで済んだが、アジトの壁に大穴を開けた。サソリが「デイダラてめぇ...またアジトを壊しやがったな」とデイダラを睨んだ。デイダラは「ちげーよ旦那!これは睦季が」と言い終わらないうちにデイダラは他メンバーからボコボコにされた。私は「デイダラは助手席から頑張ってくれたし、何も悪いことしてないのにこんなことになってしまった。ネネ失格だな...また今度謝ろう。」と思いながらも暁メンバーがデイダラに攻撃するのを止められる筈もなく、反省しながらそれを眺めていた。

 千葉のど田舎に引っ越すことになった。急な引っ越しだったため私は嫌がった。大学はどうするのか、趣味のライブ鑑賞に行けなくなるではないか等の心配事が沢山あった為、母に「引っ越ししたくない、してもいいけど私だけこっちに残りたい」と抗議したが、「いいから早く荷造りしなさい!」と一喝された。両親はもう10年以上まともに口を生きていない程仲が悪い為、いい機会だから別居すれば良いと思ったが、この期に及んでまだ家族一緒に暮らすと言うのだ。どうかしているのではないかと思ったが、荷造り等でバタバタしすぎてその理由を聞くに聞けなかった。

 荷物を10tトラックに詰め込み、私達家族は深夜に家を出た。生まれてから22年間住み続けたこの家にもう住めないと思い出に浸る間もなく家を出発した。 

 深夜の高速を走り抜けた。誰も口を聞くものはいなかったので車内は不自然な程しんとしていた。今更だが私は引っ越す理由をまだ聞いていなかった。ずっと住んできた家を捨て、ご近所に挨拶もせず、深夜に家を出るだなんてこれじゃまるで夜逃げではないか。しかし、今ここで聞ける雰囲気ではなかったためまた機会を改めて聞こうと思った。

 いつの間にか寝てしまったようで、起きたら空が白んでいた。時計を見たら朝の5時だった。車は田舎道を走っていた。私は運転をしている父に「あとどれくらいで着くの?」と聞くと「もうすぐだよ」と返ってきた。

 車はどんどん人気のない道を通っていく。緑が生い茂る道をずっと進んでいき、「やっと着いた」と父が言った。車から出ると、そこには庭付きの大きな古屋があった。引っ越しトラックは既に到着しており、荷物を中に運んでいた。

 「サマーウォーズに出てくる家をトトロの家並みにボロくした感じ」が新居の率直な感想だった。玄関からではなく縁側から家に入った。中に入ってみると、田舎の家の匂いがした。一番最初に足を運んだのは居間だった。居間は10畳間が2つあり、真ん中を引き戸で仕切ることが出来るタイプの居間だった。

 とりあえず各部屋を回ろうと思い、家を探索した。まず最初に開けた部屋は6畳ある部屋だった。窓があり、押し入れがあるだけの質素な部屋だ。

 次の部屋を開けた。次の部屋は8畳あり、窓と押し入れがあった。さっき見た部屋と同じような造りだなと思いながら他の部屋を回った。

 どの部屋も同じような造りで、窓と押し入れがあるだけの部屋だったが、この家はとても部屋数が多かった。一階だけで五部屋程あった。もう一つ部屋があると思い、ドアを開けたらそこは風呂場だった。風呂場は脱衣場がやたら広く、そこだけ小さな温泉宿のようだ。しかし床の板が腐っており、気を抜くと踏み抜いてしまいそうになった。風呂場のドアを開けると檜の香りが鼻にすうっと入ってきた。所々黒く変色しており、お世辞にも綺麗とは言えなかったが家に檜の風呂があるというのは贅沢だ。風呂に入るのが楽しみになった。

 風呂場を後にして台所を探した。台所は非常に奥まった場所にあった。ガスコンロが2つとお湯が出ない水道があるだけの非常に質素な造りで、不便そうだ。もしリフォームするなら台所と脱衣場の床を最優先にやるべきだなと思った。

 続いて2階に上がった。廊下があり、ドアが6つあった。6つの部屋はどれも同じ造りで、6畳間に押し入れと窓が一つある部屋だった。そのうちのうちの一部屋から窓の外を見ると、裏庭が見えた。裏庭には畑があった。「畑なんか使うのかな。お父さんがなんか栽培しそうだな」と思いながら部屋を出て、向かいの部屋に入って窓の外を見た。思わず「わぁ」と声が出た程青々とした緑が広がる田舎の山の中の風景がそこにあった。「私はこんなのどかで不便そうで綺麗な場所に引っ越してきたんだな。ここで暮らすんだな。」とその景色を見たとき急に実感が湧いてきて、不安と興奮が入り混じった感情を覚えた。

 その日の夜は居間でご飯を食べた。家族全員でテーブルを囲んで食べるのは10年以上していない。その為何を話していいか分からず、皆終始無言でご飯を食べ続けた。

 風呂は沙知とお母さんと3人で入った。お母さんが「凄いね〜檜風呂なんて」と言って上機嫌になっていたので、思い切って「ねえ、なんでここに引っ越してきたの?」と聞いた。しかし、完全に無視された。その反応から「多分いくら聞いても答えてはくれないんだろうな」と察し、もう聞くのはやめようと思った。

 風呂から出て脱衣場に立った時、脱衣場の壁に虫が張り付いてた。私は小さな悲鳴を上げ、軽くパニック状態に陥った。お母さんは「あれゴキブリじゃなくてコロオギだよ」と言ってくれた為なんとか落ち着くことが出来たが、問題は解決していなかった。私は虫が大の苦手、特にゴキブリなんか現れたときにはパニックになってしまう。ここは田舎の家で、虫と共存していくことになるのは避けられないだろう。私は今後の虫対策について考えながら脱衣場を出たが、猛烈な眠気を覚えた為考えるのはまた今度にした。

 8畳間に布団を敷き、母と沙知と3人で川の字になって寝た。慌ただしい一日だったなあと考えながら眠った。

 次の日、起きたのは朝6時だった。いつもは昼まで寝ている私がこんな時間に起きるのは珍しいと思ったが、裏庭のザクザクという音で起きたことに気づいた。裏庭に行ってみると、父が畑を耕していた。私が「何やってんの」と聞くと父は「おはよう」と言った後に「何か栽培しようと思うんだけど睦季は何がいい」と聞かれ、私は「トマト」と答えた。そして「仕事は?」と尋ねたが「じゃあ、ゴーヤでも育てるか!」と父が言った。私の言ったことをことごとく無視されたことに腹を立て、私は部屋に戻った。母と沙知がまだ寝ている。いつもなら私が起きた音だけで起きる神経質な母がここまで起きないとはよっぽど疲れてたんだなと思いなるべく音を出さないようにしながら着替えた。トイレの隣にある洗面所で顔を洗い、歯を磨き、縁側から外に出た。家の近くを探索しようと思い、道に迷うといけないからとにかく真っ直ぐ歩いた。緑が生い茂る道を歩き、暫く行くとひらけた場所に出た。ど田舎という言葉が非常に似合う場所だった。まだまだ歩いていると、とうもろこしを手押し車で運んでいる見知らぬおばあちゃんに声を掛けられた。「あんたどこのもんか?」と聞かれた為、「ここを真っ直ぐ言った所にある家に越してきた者です」と言うと「まぁー!」と声を上げ、「昨日越してきた家族だね?あんな家に住んでるのかい!」と言われた為、「まあ、はい」と答えると「わしお隣だから何でも頼ってええからね」と言われたが、ただ単にお隣の距離が遠すぎると思った。おばあちゃんは「これ!好きなだけ持って行ってええよ」ととうもろこしを差し出された。私は「いやいや申し訳ないです...」と言うと「なーに言ってんの!引っ越し祝よ!」と言われたので「それじゃあ遠慮なく。ありがとうございます」と言い、5、6本程とうもろこしを貰ってお別れした。「名前を聞くのを忘れてたな」と思いながら家に戻った。

 帰ると既に母も誠之も沙知も起きており、縁側でスイカを食べていた。母に「お隣さんからとうもろこしを貰ったよ。引っ越し祝だって」と言うと「わぁ立派なとうもろこし!」と喜びながら台所に持っていった。私は誠之と沙知と並んでスイカを食べた。縁側に風が吹き、のどかな田舎の夏って感じがした。

 昼はおばあちゃんから貰ったとうもろこしを茹でて食べた。ほのかに甘くて美味しいとうもろこしだった。お母さんはおばあちゃんにお礼を言いに出かけていった。お父さんはまだ畑を耕しているようだ。

 家周辺の探索を再開しようと思い、また外へ出た。朝に比べるとかなり暑かったが、都会のような嫌な暑さではなく爽やかな暑さだった。真っ直ぐ歩くのに飽きたため左に曲がった。歩き続けると寺が見えた。寺の敷地内に入ってみたが、何をするわけでもなく退散した。「ここに寺があることだけ覚えておこう」と考えながら家に帰った。

 今日の夕飯は早く、6時に食べ終えて風呂に入った。昨日みたいに虫はいないかとびくびくしながら脱衣場に入るとうっかり床を踏み抜きそうになった。今日も3人で風呂に入った。母と沙知は先に出たため私は一人で長く風呂に入っていた。風呂から出て髪を乾かし、脱衣場を後にした。今日も川の字になって眠った。

 次の日、私は好きなアイドルのライブがあった為東京に行かなければならなかった。お母さんに「出かけてくる」 と言ってから家を出た。iPhoneで地図を調べたが、駅まで徒歩一時間はあった。一時間歩くぐらいならなんてことないが、駅から遠い家なんて言葉じゃ片付けられないくらいど田舎に来てしまったんだなと感じた。せめて自転車が欲しいと思ったが、今は自転車が買えるような金などは持ち合わせていなかったし、まず自転車屋が近くにあるかが疑問だ。Amazonで頼もうにも持ってきて貰えるのだろうか。というかあそこの家の住所はなんなのか。様々なことを考えているうちに駅に着いた。

 乗り換えアプリで会場の最寄り駅を検索した。どうやらここから二時間はかかる。「東京に出るまでに3時間はかかるのか...と軽く絶望しながら電車に乗った。

 今までいた場所がど田舎だった為、東京の空気が久々に感じた。ライブは昼の1時開演で、大きな体育館のような場所で行われた。いつもの持ち歌ではなく光GENJIのメドレーをやっており、それはそれで盛り上がった。ライブ終わりに、オタ友のミロクさんに「久しぶりー!」と声を掛けられた。最近忙しくて会えなかったから会うのは一ヶ月ぶりだ。「お久しぶりです!今日のライブ面白かったですね」等と談笑し、ミロクさんに「学校どう?就活がんばってる?」と聞かれた。その質問をされたことによって初めて学校のことや就活のことを思い出した。引っ越しをしてからというものの、急な環境の変化により学校と就活のことなど思いつきもしなかった。と同時に大きな不安の波が押し寄せてきた。このままだと学校へ通うのも一苦労だし、就活だってそうだ。通えなくはないが、今までとはいかず相当大変な思いをして東京へ行かなくてはならない。何でこんな大事な時期に引っ越しなんかしたんだ。これから学校と就活どうしよう。そんなことが頭をぐるぐる回った。ミロクさんの「むつきちゃん大丈夫?」という声でやっと我に返った。同時に涙が溢れてきた。ミロクさんは急に泣き出した私を見て慌てていた。私は申し訳なくなり、「ごめんなさい、ちょっと落ち着くまで外に出ますね」と言って会場を出た。そしてチェキを撮らずに皆が会場から出てくるまで待った。

 オタ友が会場から出てきたため、皆で飲みに行くことになった。どうしてもお酒が飲みたかった為、文字通り浴びるほど飲んだ。

 気がつくと電車に乗っていた。窓の外は既に日が暮れている。何時間飲んでいつ電車に乗ったのか全く記憶になかった。最寄り駅に着いたので電車を降りた。

 駅を出た時、私は驚愕した。駅にしか街灯がないのだ。この状態でどうやって帰るのかと思ったが、iPhoneの灯りでどうにかするしかないと思った。iPhoneの電源が切れないことを祈りながら薄暗い道を歩いた。

 また一時間歩き、やっと家に着いた。酒が入った身体で一時間歩くのはさすがにきつく、風呂も入らずに布団に倒れ込み泥のように眠った。

 朝起きてまず一番最初にしたことは、母に学校や就活のことを相談した。母は子供の学校のことについて考えていると思ったからだ。母は台所でご飯を作っていた。コンロが新しくなっていた。

 私以外に弟や妹の学校はどうなるのか、特に妹はまだ高校生の為転校の手続きなどが必要になってくるのではないか等、母に質問したが「そんなのどうだっていいじゃないの」と母は言った。この台詞には驚いた。母は引っ越す前は私達姉弟に対してちゃんと考えてくれていた。そんな母が「どうだっていいじゃないの」等という台詞を吐くのが信じられなかった。私は「私もうすぐ卒業なんだけど!就活だって終わってないし、どうだって良くない!」と抗議すると、「じゃあここに永久就職すれば?毎日畑を耕して、自給自足の生活も健康的じゃない?ここにいれば学歴なんて関係ないし」と言った。私は「寝ぼけんな!!」と言い放ってから台所を出た。

 このイライラを発散させようと散歩にでも行こうと思ったが、あいにく外は雨が降っていたため今日出かけるのはやめた。また家の探索でもしようと一番端にある部屋のドアを開けた。中でお父さんと弟が昼寝をしていた。部屋にはゲームとテレビと小さなちゃぶ台があり、部屋の隅には古本が山積みにされていた。どうやらここは弟の部屋になったようだ。「こんなにたくさん部屋があるのに何で同じ部屋で昼寝しているんだろう」と思いながら、そこの部屋を後にした。

 縁側でボーッとしていたら雨が止み、急に晴れてきた。私は家を出てまた家周辺の探索をした。今回は裏庭の方面に行こうと思い、裏庭にある山道を歩いた。

 山道を歩いていくと、開けた場所があった。そこから町が一望できた。何故か叫びだしたくなり、私は思いっきり「あーーーー!!」と町に向かって叫んだ。続いて「なんでだよーーー!なんでこんなことになったんだよー!学校行きたい就活したいライブにも行きたいよー!なんで振り回されなきゃいけないんだよー!私の人生どうしてくれるんだよー!」と腹の底にあった思いの限りを叫んだ。叫んでも叫んでも返事は返ってこなかった。

 街が洪水で水浸しになってしまった。町の人は皆小学校の体育館に避難し、そこで一夜を明かすことになった。私は身体に羽毛布団を巻き付けながら体育館へ通じる階段を登った。周りの人から怪訝な目で見られたが、寝るのに必要な布団だから周りなんか気にしていられない。

 体育館は薄暗いせいか奥の方まで見えず、無限に続いているのではないかと疑うくらい広い空間だった。布団を敷いている者もいたがほとんどはタオルを敷くか、あるいは布団代わりになる類が一切無いまま寝ていた。私は布団にくるまって寝ようとしたが、隣の女性が何も無いまま膝を丸めて寝ているので少し心が痛んだ。

 夢を見た。私はNARUTOに出てくるキャラクターのサソリだった。両親の傀儡に抱かれている例のシーンを行っていた。両親の腕の中は暖かくて気持ちよくて涙が溢れてきた。